宝石の情報開示

ご存知でしょうか。

現在、エメラルドにおいて無色オイルや樹脂をエメラルド結晶の隙間に含侵されていないナチュラル・ナチュラル(非処理天然石)の石を探すのは不可能に近く、1万個に1個あるかないかということ。

アクアマリン、ルビー、サファイア、シトリン・クォーツ、ピンク・トパーズ、ブルー/グリーン/イエロー/トルマリン、ゾイサイト(タンザナイト)は通常、色の改善を目的とした加熱が行なわれている事。

ブルー・ベリル、イエロー・クォーツ、スモーキー・クォーツ、クォーツ・キャッツアイ、クンツァイト、ブルー/グリーン・トパーズ、レッド/ピンク・トルマリンは通常、色の変化を目的とした人為的な照射処理が行なわれていること。 多結晶質天然クォーツのほとんどの色は色素による着色処理または加熱がなされていること。

このような『処理石』は、宝石としての価値が全然ないということではありません。美しい天然石の潜在能力を最大限に引き出しているもので宝石としての価値を十分に秘めています。

しかし、消費者保護の立場から、これらの処理について宝石業界内で統一した表記が必要と言う機運が高まりました。そこで、社団法人日本ジュエリー協会(JJA)と宝石鑑別団体協議会(AGL)は、1994年6月1日に『宝石もしくは装飾用に供される物質の定義および命名法に関する規定』を発表し施行しました。処理をエンハンスメントとトリートメントに分類するガイドラインを決め、鑑別書に表記するように成りましたが、2004年9月1日よりエンハンスメント、トリートメントという分り難い表現をやめ、鑑別書に明確な処理内容を開示コメントとして表記する事に成りました。

この改訂の趣旨は、鑑別書だけに表記すれば良いという事ではありません。私どもでは、ご商談のときに正しい情報をお客様にお伝えする義務があると考えました。そこでインタージェムは、この問題に逸早く対応し、全ての正札にその宝飾品に使用されている宝石の処理内容を表記致しました。

パライバトルマリンの定義

トルマリンの中でネオンカラーのブルー系の石を見たことがありますか。

1980年ごろブラジルのパライバ州でブルーやグリーンのネオンカラーの美しいトルマリンが産出され、パライバの名前がつけられました。パライバトルマリンの産地は、ブラジルのパライバ州とその近郊に限定されていました。その供給量は年々に減少を続け、既に枯渇したとも言われています。その為に現在高品質の物は大変高額な値段で取引がおこなはれているのが現状です。

ところで、宝石鑑別団体協議会(AGL)のパライバの定義は「ネオンカラーが特徴的な銅着色のブルー~グリーン系トルマリンでブラジル産であることが特殊検査にて確認された物に対して分析報告書に限り別名パライバと記載可」とされておりましたが、モザンビークからも銅含有のエルバイトトルマリンが産出されるようになりました。このモザンビーク産とブラジル産との識別区別が出来ないものがあり、パライバトルマリンの定義を2006年5月1日から「銅及びマンガンを含有するブルー~グリーンのエルバイトトルマリン」と変更されました。 鑑別機関の発行するパライバトルマリンの分析報告書に「当初産出された地名に因んで“パライバトルマリン”と呼ばれています。但し、産地を特定する物ではありません。」とコメントを入れる事。銅及びマンガンの含有とその測定機器名を明記する。事になりました。

個人的主観ですが、希少価値をうたっていたパライバトルマリンが産地を問わなくなり、ブラジル産との識別区別が出来ないモザンビーク産の同種のトルマリンがパライバトルマリンとして今後の市場に出て来ると考えられます。その時にパライバトルマリンの希少性としての価値がどのように評価されるのかが問われてくると思うのです。

パライバトルマリンでも品質の良くない物も当然あり、希少性を強調してパライバトルマリンということで高い評価をするのではなく、他に類を見ないブルーやグリーンのネオンカラーの美しい本当に綺麗なパライバトルマリンを評価すべきと思います。パライバトルマリンに限らず宝石やそれを使った宝飾品は、その美しさやデザインの素晴らしさによって身に着ける楽しさ、ご両親や愛するご主人からのプレゼントだったり、頑張った自分へのご褒美だったり、記念の思い出等の生活に潤い与える物であって。決して希少性だけでジュエリーが存在する物ではないと思うからです。

キンバリー・プロセス と システム・オブ・ワランティー

紛争地ダイヤモンド(Conflict diamonds)という言葉を聞いたことがありますか?
戦争で経済状態などが悪化している地域、とくに中央および西部アフリカでの紛争の資金源とするために違法に取引されているダイヤモンドを言います。

アフリカのシエラレオネ共和国での内戦(1991-2000年)を舞台に紛争地ダイヤモンドをテーマにした2006年制作のアメリカ映画『ブラッド・ダイヤモンド』 (Blood Diamond) は、ご記憶の方もいらっしゃると思います。

1990年代後半、紛争地ダイヤモンドの比率が世界のダイヤモンド産出高のおよそ約4%を占めていたと推測されています。現在、紛争地ダイヤモンドの比率は大幅に少なくなり、1%未満になっています。

それは、2000年6月、全世界のダイヤモンド業界が紛争地ダイヤモンドに対する「ゼロ・トレランス(ひとつの紛争地ダイヤモンドも許さない)」方針を国際社会に発表し、国連、各国政府、ならびにGlobal WitnessやPartnership Africa Canadaといった非政府組織と密接に連携し、キンバリー・プロセス証明制度を発足させました。

2003年、ダイヤモンド原石を輸出入する際、密封された容器に入れ、ダイヤモンドが紛争と関係のない地域から供給されていることを示す、識別番号付の付いた政府認証の証明書を添付することを参加各国の政府に義務付ける「キンバリー・プロセス」と呼ばれる協定が策定されました。

現在では、71の政府がキンバリー・プロセス証明制度を法律に採択しており、当然日本もこのキンバリー・プロセスに参加しています。

製造・小売においてもダイヤモンドが紛争と関係のない地域で採掘されたことを消費者に保証するために、全てのキンバリー・プロセス参加国によって保証されたこのシステムにもとづき、原石および研磨処理済みのダイヤモンドを売買する場合は、下記の宣誓文をインボイス(納品書)に記載する必要があります。この制度をシステム・オブ・ワランティーといいます。

「このインボイスに記載されるダイヤモンドは、国際連合決議を遵守し紛争への資金提供に関与しない供給先より購入されたものです。ダイヤモンドの販売業者として、当方が承知している限り、且つまた、供給者からの書面による保証により、これらのダイヤモンドが紛争に関係のないことを保証します。」

出典:DiamondFacts.org(Japanese)

下記の画像は、インタージェムが仕入れたダイヤモンドの納品書です。ご覧のようにシステム・オブ・ワランティー制度が遵守されています。

このようなに、インタージェムが取り扱うダイヤモンドは、紛争地域以外から採掘されたダイヤモンド、すなわち紛争地フリーダイヤモンド(Conflict-free diamonds)です

紛争地フリーダイヤモンド

「花珠」表記について

インタージェムで販売する真珠製品(リング・ネックレス等)に「花珠」表記の付いた鑑別書を添付したり、店頭で「花珠」ですとセールストークに使って説明をしていません。

その理由は、明確な区分け基準がないからです。
と言いますのは、一般社団法人日本ジュエリー協会発行の「ジュェリー用語事典」にある「花珠」の説明を引用させて頂くと、
【養殖真珠で色調加工などを施さなくとも極めて上質の珠。非常に少なく養殖漁場でも殆ど上がらない。
しかし、近時は色調加工をした珠で、傷がなく、形、巻き、照り、色の良い最上級品質のものを指して準花珠と称するが、明確な区分け基準はない。】と書かれています。

すなわち、本来の「花珠」は殆ど採れていない、そして色調加工された真珠に「花珠」という明確な区分け基準がない現状で、インタージェムとしては「花珠」という表現を使用しての販売は出来ないという考えからです。

一般社団法人日本真珠振興会HPをご一読ください。